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ヤゴ

稲田の草取りという「修業」が終わりに近づいています。6月の頭からほぼ一か月半、一日3時間ほど、雨が降り続いた翌日などはその雨の日の分も取り戻そうと、午前午後3時間ずつの6時間、田に入って草取りをしました。もしも、腰をかがめて泥の中を一歩一歩進んで草取りをする姿を俯瞰するならば、さながら田んぼにへばりついている奇妙な泥虫です。いつも田の上を飛び交い、木々を渡り合う鳥たちには、どう見えていたのでしょうか。不可解なことをする奴がいるもんだ、と思ったに違いありません。

それにしても田んぼは虫の宝庫です。地球の3分の2以上の生物の種が昆虫だと言われていますが、その縮図が田んぼにあります。いつも水が湛えられているからでしょう、いろんな虫が水の中に水の上に田の周りにいます。生き物のあまたのドラマが日々展開されています。田んぼに「通学」していると、その一部を垣間見、学ぶことができます。

今年もトンボのヤゴがたくさんに生まれました。黒っぽいヤゴ、薄緑のヤゴ、小さいヤゴ、長いもの、尾びれがついたものなど何種類かいるのですが、同定は難しい。毎年7月と8月に青いイトトンボとアキアカネとウスバキトンボが大量に発生します。そのトンボたちの旅立ちが見たくて除草剤を撒くことなく草取りの「修業」をしている、とも言えます。

野菜もそうですがお米の栽培は、稲の苗を一人勝ちにすることです。ヒエ、ホタルイ、シズイ、オモダカ、コナギなどの芽をひたすら掻き回し、その小苗たちを逐一抜いていきます。人の力によって稲を一人勝ちに近づけていく、それがお米の栽培というものです。

その一人勝ちの程度と方法ですが、私には完全な一人勝ちは性に合いません。除草剤を使わずにある程度の稲の一人勝ちを目指しているのですが、草は待ってくれません。雨後の筍と同じようにずんずん伸びます。わしわし広がります。暑いさなかの長時間作業、それも足を取られての作業は、かなり骨が折れます。骨身を惜しむわけではありませんが、田に撒いてもヤゴたちが安心して棲める除草剤がないものでしょうか。願わくば、誰か発明してくれるといいのですが。そうなれば喜んでその除草剤を使うでしょう。

やっと青年にまで育った今年の稲たち。夏の風に、まるで弦を引き鳴らすように、青葉を揺らしています。田んぼが心地よい音楽を奏でています。出穂も近づいています。

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