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水あんちゃとお月様

H2Oの血つながり三兄妹(さんきょうだい)、一番上の兄は水あんちゃ、二番目の兄は氷あんちゃ、一番下は妹の雪っこ。寒いこの季節、三人は大の仲良しですが、今年は暖かく、まだ水あんちゃしか、冬の棲みかのこの池にはいません。

一番上の水あんちゃがさびしそうに一人、二番目の氷あんちゃと妹の雪っこが来るのを待っています。何しろ、春の初めに三人は別れたきり、それ以来ずっと会っていないのです。

「二人とも遅いな、どうしているんだろう。元気にしているのかな。北国の家のこの池で再会するのは久しぶり、二人の元気な顔を早く見てみたいな。そして去年のように、また三人仲良く、思いっきり遊びたいな。」

冬晴れの今日は風もなく、池の水は静かに澄んでいます。水あんちゃが、さびしそうなので、夕方には十二日のお月様が、池に遊びに来ました。

「大丈夫ですよ、水あんちゃさん。冬はこのままというわけではないのです。そのうち、冷たい北風が走る寒い冬となって、あなたの弟さん妹さんもここにやってきますから。もう少しの辛抱です。そうしたら、思う存分、兄妹三人で遊んでくださいな。そして弟さん妹さんの面倒も見てやってくださいな。」

「お月様、ありがとう。ぼくもそうなることを望んでいます。去年と同じように、冬ざれの白い世界で、思う存分、遊びたいんだ。」

「大丈夫、きっとまた遊べるわ。それに山や川や野原や畑や田んぼのみなさんも、あなたたち三兄妹と遊ぶのを、ずっと心待ちにしていたわ。」

「そうか、みんなもぼくたちを待っていてくれたんだ。うれしいな。ありがたいな。なんだか少し元気が出てきた気がする。冬は待つことが似合う季節、お月様、ここでぼくも、弟と妹が来るのをしばらく待つことにします。」

「ええ、それがいいわ。待てば必ず二人は来ます。近いうちにきっと来ますとも。」

「お月様、今日はほんとうにありがとう。寒くなって三人そろったら、またここに遊びに来てください。」

「そうね、そうするわ。これからは鉛色の雲に覆われることが多くなって、時々しかお目にかかれないでしょうが、また出かけてくるわ。それでは、お元気でさようなら。」

そう言うと十二日のお月様は、池の向こうの松山の稜線に沿って、空高く上っていくのでした。


ということで、蒲(がま)の葉は枯れ、池は冬の構えを整えましたが、まだ氷は張っていません。雪もありません。雑木と月の、影が水にゆらめく暖かな冬になっています。

クリスマスもすぎ、今年もあと数日となりました。富裕層が富を独占することによって、一方では貧困を生み、戦争やテロが生まれる温床となる、そういう負の循環を断ちたいですね。来年はお月様やサンタに倣い、富を分かちあう贈与の種が世界にこぼれ落ち、芽生える年にしたいものです。良いお年をお迎えください。

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楽しむ会

関東で暮らしていたころと、ここでは冬の迎え方が違います。秋が深まり、その延長線上に冬がいつの間にか来て、気がつけば冬。それが関東の冬でした。冬はそのうち大寒を迎えるも、何とはなしにやり過ごせば、やがて梅が咲き、春が来ます。関東を遠く離れた今は、そんな気がしています。

しかしここ北国では、冬に構えるのです。冬は構えを作って迎えるものなのです。ひと月ふた月もかけて、自然も人も冬を迎える準備をします。心身ともに構えを作ってからではないと、厳しい冬は乗り切れません。

秋と冬の間には、雪という目に見える境目があります。画然とした境界があります。雪は降ったり融けたりして、秋と冬のあわいを行きつ戻りつ、やがてまとまった雪が降りたち、根雪になれば、もうまごうことのない冬なのです。そして、人がどう思うと、冬はでんと居座ります。

冬が居座る前に、近所のおじいちゃん、おばあちゃんを縄文のうずまき社にご招待して、いつものように80歳以上のお楽しみ会をしました。
おじいちゃんおばあちゃん、みなさんお元気で、おめかしをして集まってくれました。最高年齢は隣の家の96歳のハマさん。杖を使って歩いてきました。89歳の平八さんは、今年も軽トラを運転してきました。

お昼は、おにぎりと鳥汁と漬物とりんご。近所のお母さんたちが作ってくれました。隣町の人が自前で来て、大正琴の演奏と踊りとマジックを披露してくれました。今年もたくさん笑い、みなさんに楽しんでもらえました。好意が寄せ集まり、お楽しみ会が季節のように巡ってくれるのは、ありがたいことです。
           
おじいちゃんおばあちゃんの、楽しかった、の言葉で、今年の秋と縄文のうずまき社を仕舞うことができました。ありがとうございます。

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東屋完成

ゴミ拾いに枝払いや草刈りを始めてから三年目の秋、谷地の大滝の東屋が完成しました。

土手は草や蔓に覆われていましたが、手入れの甲斐があって、適度に生い茂る木々の間からの見晴らしは良く、階段状に折り曲がった岩畳から、量感をもつ水が流れ落ちる様は、見ていて気持ちがいいものです。もともと海上川(かいしょうがわ)本流の滝なので水量も多く、なかなかの名瀑なのです。

波が折れ曲がった滝、というアイヌ語の、カイショウ、という地名発祥の滝ですから、蝦夷(えみし)の時代にはすでに知れわたり、この地で暮らしていた人々は、四季織りなす川辺の風景を目に納めながら、おそらくイワナやヤマメやウグイやウナギやモズクガニなどの豊かな川の恵みを受け取り、秋にはへし合いながら遡上してくる鮭を、冬の糧としていたことでしょう。

今と変わらぬ、幾重にも折り曲がった岩畳から滑り落ちる豊かな水の流れが、時を刻みつづけ、昔と今をつないできました。川とともに暮らしを紡いできた遠い昔の人々を、思いやることのできる滝なのです。

時代は変わっても、昔と同じような風景がここにある、その恒常がうれしいのです。何かにつけ、「変革」を声高に主張する時代にあって、長閑で不易で常態であるという場所が残っているのは、うれしいことです。

今年はテーブルとベンチを作り、ぬかるみの道に粟砂を敷きました。人手のいる作業でしたが、十三人が協力してくれました。みなさん、普段から農業などで体を動かしているので、よく働きます。段取り良く事が運び、秋に完成に至りました。

滝の大明神や滝つぼに棲むという「めどつ」にお神酒を上げ申し、これからの部落の安寧をお祈りしてのち、みなさんと懇親の会を設けました。

小さな里ではありますが、こうしてみなさんの無償の力添えによって、ささやかながらも事を成しえることができました。これからも、滝の風景を守り、「ただ働き」を重ねていきたいと思います。

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